現在まだ一般的によく理解されていないうつ病。うつ病は、思っているより身近な病気で、比較的多い病気です。一生のうち3割の方はうつ症状をある時点で経験していると言われています。
うつ病は年齢、性別を問わず起こります。統計的には女性の方が男性よりも発病率が高いようですが、男性の方が自殺等の重篤な症状に発展する事が多いようです。年齢的には二十代、三十代に多く、また女性の場合は出産後、更年期に発病率が著しく高くなります。また、見過ごされがちですが、高齢の方のうつ病もかなり増えています。
うつ病の原因はいろいろな考え方がありますが、およそ3つの点から成り立っています。
1)遺伝性(親、兄弟などがうつ病の場合、脳内分泌物の異常がある事が多い)
2)過去の出来事(子供の頃にあった大きな出来事等が後程影響する)
3)ストレス(離婚、失業等がきっかけ)
うつ病の症状は人それぞれかなり異なりますがまとめますと、悲しみ、罪悪感、集中力の低下、決断力の低下、物事に興味がなくなる、頭痛、睡眠障害、食欲の変化、性欲低下、不安感などから始まり重症になると、妄想、引きこもり状態、身だしなみが出来なくなる、不眠、体重減少、自殺企図と進んで行きます。
このような症状が幾つかまとめて現れ、またそれがしばらくの間続いた場合、うつ病と判断します。
うつ病の患者は必ずしも典型的な症状で受診しません。特に症状が軽い方は下記の3つのパターンがよくみられます。
1)内科的な不定愁訴を訴える
(疲れやすい、体力が無い、集中できない、眠れない、食欲が無い、物事に興味がわかない、動悸がする、ふらふらする、胸が痛い等)
2)痛み(頭痛の悪化、原因不明の腹痛、治らない腰痛、筋肉痛等)
3)主に精神的な症状(いらいらする、夜中に目が覚める、会社や学校に行くのが億劫、いつも見ていたテレビ番組が見たくない、付き合いが面倒くさくなる、化粧や服装に興味がなくなる等)
医師に受診した後はまずある程度の検査(血液、尿、心電図等)が普通行われ、他の病気が無いか鑑別します。うつ病以外の病気が無い場合は、このような検査は全て正常ですので、この時点で正しく診断されれば治療へと進みます。
<治療>
うつ病の問題はまず治療を始めるのが遅れる事です。これはすぐに医師の診察を受けないということが主な原因です。症状が軽い方はうつ病だと気が付いてない事や、またはうつ病だとわかっていてもあまりイメージが良くないと思われがちなので隠してしまうなどが主なものです。また自分がうつ病だと認めたくない為、受診しないと言う方もいるようです。
治療の基本は抗鬱剤の内服です。うつ病の多くは脳内分泌物の不足から起こると言われていますので、その部分を治す薬が現在では多数存在します。抗鬱剤はとても効果的で種類も多いので根気よく治療を継続すれば、必ず自分に合う薬が見つかります。
内服薬と同時にカウンセリングもとても大切です。カウンセリングでうつ病の原因となっているような生活上のストレス、人生の出来事を話す事が重要です。また、うつ病のような心の病気は家族のサポートも大切になってくるので、定期的に一緒にカウンセリングを受けるのも効果的です。