お子さんが学校から『STREP THROAT』について書かれた手紙をもらってくる事があります。アメリカ生活がまだ日が浅いお母さん方には、耳慣れない病名だと思いますが、これは日常よくある扁桃腺炎の一つです。但し、要注意な病気でもあります。扁桃腺炎を起こす病原体には細菌とウィルスがあります。その一つが溶血性連鎖球菌(略して溶連菌)と呼ばれる細菌です。この溶連菌(STREPTOCOCCAL
BACTERIA)が原因で起きたのど(THROAT)の炎症を一般にSTREP THROATと呼びます。
ところで扁桃腺炎を起こす細菌やウィルスは数多くあるにもかかわらずなぜこの溶連菌だけが警戒すべき病気として有名になったのでしょうか。実は溶連菌にかかると、後で急性腎炎やリウマチ熱と言った厄介な病気を引き起こす可能性があります。なぜ厄介かと言いますと、急性腎炎はその後、慢性腎炎に移行する恐れがありますし、又リウマチ熱は後に心臓弁膜症を残す事があります。そのためないがしろに出来ない病気です。その他にも扁桃線周囲膿瘍、中耳炎、リンパ線炎などの合併症を起こすこともあります。特にお子さんの場合は、大人に比べて集団生活をしているので移りやすい、きちんと治療しないと後で余病の危険がありという点から、クラス内に患者が出ると、親に注意を促す手紙が配られるわけです。この手紙をもらったらお子さんの健康状態に十分注意を払いましょう。
<こういう場合は受診を>
溶連菌扁桃腺炎の特徴として、
1)のどの痛み
2)発熱
3)頸部リンパ腺の腫れ
4)咳が出ない、又はあっても軽度
これらの症状が当てはまる場合、家族や周りに溶連菌プラスの人がいて、感染した可能性がある場合。但し、溶連菌による扁桃腺炎は、のどの強い痛み、発熱と言った典型的な症状の人から、殆ど症状のない人まで種々なため、症状だけではかかったかどうか判断しかねる場合もあります。しかし、あやしいなと思ったら必ず受診される事をお勧めします。特に幼いお子さんの場合は、そう具合が悪そうでなくても、家族や一緒に遊んだお子さんから感染者が出た場合、一応念のために診てもらいましょう。溶連菌の検査は、綿棒でのどから菌を取り簡単に調べられます。もしプラスだった場合は、菌を殺す為に抗生物質が処方されます。
<家庭での処置・注意>
●のどの痛み・熱に対してはTYLENOL・MOTRIN・ADVIL等の市販薬を適宜服用。
●のどに温湿布、冷湿布するのも痛みを和らげる一方法。
●塩水やうがい薬でうがいする。
●水分を十分に取る。
●冬場は加湿器をたき、室内の乾燥を防ぐ。
●症状は数日で良くなるが、抗生物質は途中でやめずに医師の指示通りに
最後まで必ず飲み切る。(余病を防ぐために大切)
なお、この溶連菌は風邪と同様に何回でもかかります。特にお子さんの場合は、後々まで問題を残さないように、早めに受診し完全に治療することが何と言っても重要です。
今後、読者の質問に答えるコラムを考えています。答えてほしい医療に関する質問が有りましたら、下記のE-Mailアドレスに、四方宛に送ってください。