ついこの間、子供たちの学校が終了したかと思いきや、あと数週間で新学期を迎えます。早い!この一言しか出てこない(泣)。この夏はいったい何をしていたのだろうか?と自分に聞いてみるけれど、あんまり思いつかない私です。皆さんはこの夏はどこか旅行へ出かけたりしたでしょうか?楽しい夏の思い出を作られた事を願います。
さて、今月のご相談はBさんからです。最近、よく日本でマインドフルネスという言葉をネット上やテレビなどでよく聞きますが、あまり理解していません。瞑想と関係があると聞いていますが、マインドフルネスはいったいどういうものなのでしょうか?マインドフルネスを知っているとストレスが減るという事も聞いてますがそうなのですか?私自身、会社員をしていますが、いつもストレスが溜まっています。ストレスを軽減できるのであれば、ぜひこの新しいコンセプトを知りたいと思いました。
Bさん、投稿ありがとうございます。「マインドフルネス」と言う言葉は、この7-8年で日本で最も取り上げられてきたコンセプトの一つです。マインドフルネスは、仏教や禅などのコンセプトから来ているものなのですが、ずいぶん前にアメリカでマインドフルネスが普及されました。その後アメリカの大企業のGoogleやAppleなどでも独自のマインドフルネスのプログラムが導入され、日本でも注目を浴びたわけです。マインドフルネスはある意味、日本に逆輸入されたコンセプトと言っても過言ではないでしょう。
マインドフルネスと聞くと、どんな事を思い出しますか?Bさんが仰る通り、マインドフルネスと瞑想は切っても切れない関係ですし、瞑想はマインドフルネスの一部でもあります。特に日本ではマインドフルネス=瞑想・仏教と言うように取り上げられている事が多い中、実は臨床心理の目から見るともう少し奥深いものだという事を知ってもらえたらよいかなと思います。
それではマインドフルネスっていったい何?という事ですが、一言で言うと「今、この瞬間に意識を向け、客観的に観察をしジャッジ(判断)なしで生きる」という事です。ん〜〜〜?どういう意味?余計に意味が分からない!なんて思うのも当然かもしれません(笑)この瞬間を生きるってどういう意味?って思いますよね?マインドフルネスは「心ここにあり」の状態です。
例えば、コーヒーショップに入った時に、あ、コーヒーの匂いだ!とその瞬間にコーヒーの匂いに意識を置くことの事を言います。その瞬間起こっている事に対して、過去・未来を考えず、今起きている事に意識を置き、自分の先入観や価値観で人や物事を判断やジャッジせず、ありのままを受けいれるという事なのです。
歯磨きを思い出してみてください。Bさん自身は普段から歯を磨くことは習慣づけていると思うのです。でも、歯磨きをしている際に、もしかしたら仕事の事や、人間関係について考えながら歯をゴシゴシと磨いているかもしれませんよね?または、いつも歯を磨いているからという事で、ある意味流れ作業の様な感じで歯を磨いているかもしれません。そうなると、歯をキレイに磨く事が目的であった歯磨きが、仕事の事や、人間関係について考える事が目的になってしまう事になり、本当の歯磨きの目的や意味とは異なります。
でも「歯を磨く」という事だけに集中して歯を磨くと何がどうなるのか?歯を磨いている時のゴシゴシという音や、歯磨き粉の匂いを嗅いでみたり、口の中での歯磨き粉の感触や、歯ブラシが歯を磨く時の感触や磨きの強さなど、今まで意識していなかった事に気づく事ができます。何のしがらみや執着もなく、その瞬間にしている事だけに100%意識を注ぐことで、なんらかの「気づき」があるのです。
人は、ストレスが溜まると、色んな感情(怒り、悲しさ、寂しさ、孤独感など)を感じやすくなります。そしてその様な感情に執着すればするほど、客観的に物事が見れなくなり、主観的になり、自分だけの目線から物事や人への尺度を測り、ジャッジしがちになります。そうなると今、この瞬間にしている事、見ている事、体験している全ての事に対して100%集中できないため、うまく回らなくなります。ストレスが溜まり、マイナスな感情を感じ、マイナスな事を考えながら、仕事をしたり、人と関わる事で結果的に仕事上でミスが多くり、上司に怒られたり、人間関係にひびが入ってしまったりと、自分が望んでいる結果にならない事が多くなります。どんどんと色んな感情や思考が頭にさまよい、ワンダリングするので、マインドフルネスとは逆に「心ここにあらず」なマインドレスになってしまうのです。
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