今回ご紹介する「Pasta D’Arte(Art of Pasta)」は、シカゴ市内と郊外のボーダーに位置するNorwood Parkという町にあるイタリアン・レストランです。オーナー・シェフのMark Gianniniはイタリア系家族のもとに生まれ、子供の頃から祖母にイタリア料理を習い、ローマ、ボローニャ出身のシェフのもとで修行をした後、2002年にこのお店をオープンしました。「パスタ料理の創造性を表現したい」とはじめた同店では、特製のパスタをベースにイタリア料理を存分に楽しんでもらうため、魚介類や肉類のレパートリーを増やしてきたそうです。ローマ風の石柱を使った入り口と赤い看板が目立つファンシーな外観ですが、店内は意外とこじんまりとしていて、中に一歩足を踏み入れると、エントランスのすぐ側にあるキッチンから漂ういい匂いにすっかり食欲をそそられます。

テーブルにつくとバケットと一緒にGiardinieraというイタリア風ピクルスが出てきました。Antipastiから選んだProsciutto E Carciofiは、オリーブオイルと塩こしょうでシンプルに味付けしたトマトとグリーンサラダの周りにプロシュートを敷き詰めています。その上にはグリルした茎の長いアーティチョークの酢漬けと、厚めに削ったパルメジャーノがのっていて、程よい塩気のプロシュートはそのまま食べても良いですが、新鮮でパリパリとした野菜と合わせて食べても◎。上にかかっているほんのりと甘いイチジク風味のバルサミコ・ソースがさらに味わい深さを与えていて、見た目も味もおすすめの前菜です。

メインにはパスタメニューからSpaghettini Vongole Veraci(ボンゴレ・ビアンコ)とSecondiからBraciole Di Carne（牛肉ロールのトマト煮）を選びました。ボンゴレはリクエストすればレッドソース（トマトソース）でも調理してくれますが、今回はホワイト・ワインに唐辛子を加えたホワイトソースで作ってもらいました。ボンゴレにはアサリがたくさんのっていて、ニンニクのスライスと白ワイン、オリーブオイルを使ったソースは貝のうまみがたっぷり。スパゲッティーニは少し細めのホームメイドパスタですが、ややモッチリ感に欠けるもののアサリの旨味は十分に堪能できました。パルメジャンチーズと薄切りのニンニクをサーロインステーキで巻いた牛肉ロールのトマト煮は、Orecchietteと呼ばれる耳たぶの形をしたパスタと和えてあります。牛肉だけを食べると少し塩気が強いように感じますが、パスタだけを食べるとトマトソースの甘みが目立つので、お肉と一緒にあわせて食べるとちょうど良い具合になり、味の深みが増すようです。特製のパスタはしっかりとした厚みとモチモチ感があり美味でした。
　
デザートにはToday's SpecialからNY Cheesecakeのベリーソース添えを頼みました。メニューに書き添えられた”マンマの手作り”りという言葉通り、確かに素朴さ溢れる家庭的な味わいでしたが、特にユニークさを感じるものでもありませんでした。

「Pasta D'Arte Trattoria Italiana」では常連さんが多いようで、地元に愛されているトラットリアという印象を受けました。本格的なイタリア料理を気軽に楽しめるカジュアルさと、的確なサービスやタイミングなどの満足度の高さが、一度来た人を魅了するお店です。

(12/26/2016)

シンプルなグリーンとトマトの上にプロシュートを敷き詰めたProsciutto E Carciofi。	細目のホームメイドパスタを使ったSpaghettini Vongole Veraciはあさりのうまみがたっぷり。	Braciole Di Carneはパルメジャンチーズとニンニクをサーロインステーキで巻いたトマト煮です。
Today's Specialから選んだNY Cheesecakeは手作り感溢れる素族な味わい。	こじんまりと落ち着いた雰囲気の店内。