今回ご紹介する「Gilt Bar」は、Maggiano'sやM Burger、Shaw's Crab House、Wildfireといった、シカゴの大手フランチャイズ店を手がけるLettuce Entertain Youの元コーポレート・シェフ、Brendan Sodikoffがプロデュースしているレストラン・バーです。“高品質な料理が味わえるパブ“がコンセプトのこのお店のメニューは、至ってシンプルなものが多いのですが、厳選した素材を使って驚くほど洗練した料理に仕立ているのが特徴で、その味はミシュラン・ガイドでも認められています。例えばメニューには、長々としたアペタイザーなどはなく、「On Toast」として特製ジャムやパテが5種類あるのみ。またサラダや野菜、パスタ、シーフードといったカテゴリーごとの料理も、それぞれ3、4種類ずつといった感じでメニュー数は少ないのですが、その分一品一品のクオリティーが高く、満足度の高いとっておきの料理が揃っています。バーなのでお酒類は非常に豊富で、クラフト・ビールやワイン、カクテルなどのいろんなアルコール類もあります。

前菜としてOn Toast のメニューから、Foie Gras & Pork Liver MousseとTenderloin Steak Tartareをオーダーしました。フォアグラとポーク・レバーのムースには厚目のトーストに、粒マスタードとキュウリのピクルスが添えられていて、濃厚なムースは一度食べたら何度でも食べたくなる病み付きの美味しさ。小さなガラス瓶に入ったムースは、見た目以上に量があるので、途中でパンをおかわりした程でした。新鮮さが見てとれる牛肉のステーキ・タルタルは、上に黄身のポーチド・エッグがのっていて、マヨネーズ・ソースが添えてあります。とろとろの黄身を粗く崩し、フワッとしたビーフに混ぜ合わせ、トーストにたっぷりのせて食べると絶品で、さらに酸味を抑えたマヨネーズ・ソースもよく合いました。サラダ・メニューから頼んだClassic Caesarは、レタスとクルトンだけのありきたりなものではなく、中にはざく切りのスモーク･サーモンがたっぷり入ったボリュームのある豪華サラダ。ふんだんにかかったパルメジャン･チーズも深い味わいがあり、普段食べるシーザーサラダよりも数段コクのあるものに仕上がっています。

メインには、Truffle PastaとシーフードのShrimp & Gritsを頼みました。パスタはもっちりした縮れ麺に、ペコリーノ・チーズと呼ばれるイタリア産の羊乳チーズを合わせたクリーム・ソースがたっぷり絡まったリッチな一品。トリュフの風味はあまり感じられませんでしたが、手打ち麺のアルデンテ感はバッチリで、ビールにぴったりくる塩気の強い味付けも好評でした。海老とグリッツのペペロナータは、チェダー・チーズ入りのグリッツに、ソテーした大振りの海老とパブリカがのっています。パプリカはジューシーで甘くとろけるような柔らかさで、プリっとした海老やチェダー・チーズとの相性も抜群でした。

照明が落とされた店内は、テーブル上の淡いキャンドルの光と天井からのわずかな照明があたたかく、ゆったりとした気分にさせてくれます。お店の中央には、低いテーブルと深く腰掛けられる大きなカウチが幾つかあるので、そちらはしっとりくつろぎたいグループやカップルにお勧めです。ドリンク・メニューには、ミラーやハイネケンのようなコマーシャル・ビールはない代わりに、知識豊富なウェイターさんが好みの味や度数に合うビールや、お料理に合うワインを勧めてくれます。「Bristol」 や「Publican」のような、ガストロパブと呼ばれる“食事の美味しいパブ“がシカゴ市内のあちこちにオープンしていますが、こういった数種類の洗練されたシンプルな料理と、美味しいワインやビールを比較的リーズナブルな価格で楽しめる「Gilt Bar」は、また新たなジャンルの店として人気の火付け役となりそうです。週末の夜は特に込み合いますが、前日からの予約ができるので、電話予約をいれてから足を運んでみてください。

(12/16/2013)

Foie Gras & Pork Liver Mousseは濃厚で病み付きの美味しさ。	新鮮さが見てとれる質のいい牛肉を使ったTenderloin Steak Tartare。	ざく切りのスモーク･サーモンがたっぷり入った、豪華なClassic Caesar Salad。
ペコリーノ・チーズを合わせたクリーム・ソースがリッチなTruffle Pasta。	Shrimp & Gritsはチェダー・チーズ入りのグリッツに、大振りの海老がのっています。	照明が落とされたロマンチックで居心地のいい雰囲気の店内。