最近ではシカゴ市内だけでなく、郊外でも様々なジャンルのレストランが増えてきました。特にアジア料理はヘルシーなイメージが浸透しているためか、増加傾向にあるようです。そこで今回は、本格的な日本食や中華料理に加えて、アジア各国の料理を融合させたアジアン・フュージョン料理を楽しめる『Bistro Dragon』をご紹介します。

店内は、外観からは想像もつかないほどモダンなインテリアでコーディネイトされていて、テーブルの白いリネンが映えるおしゃれなフレンチレストラン風ですが、決して堅苦しさは一切ないのでご安心ください。バーを兼ねた寿司カウンターでは、１人で寿司をつまんでいる会社帰りのおじさんの姿もちらほら。そんな気軽に入れる雰囲気です。

和食を扱っているお店というだけあって、お酒があるのはもちろん、アサヒやキリンなど日本のビールも用意してあります。さらに、素材そのものの味を楽しんでもらうことをモットーにしているため、新鮮な食材にはこだわりがあるようです。また中華料理で使われがちなMSGをはじめ、缶詰や冷凍食品は一切使っていないそうです。

さて気になるお料理ですが、アペタイザーとしてSuzuki CarpaccioとClams with Black Bean Sauce、そしてShrimp Salt and Pepperの3品をお願いしました。カルパッチョは、薄くスライスされたスズキのお刺身に、熱々の醤油ベースのオイルがジュっとかけられています。醤油オイルのコクとマイルドさが淡白なスズキにとても合っています。さらにシラントロの爽やかさが良いアクセントで、それぞれの風味の良さが感じられるお勧めの一品です。Clams with Black Bean Sauce は、黒豆を使ったスープでアサリを蒸しています。アサリのエキスがしみ出ているスープは、オイスターソースのコクと唐辛子のパンチがきいていてとっても美味。まさに「中華風アサリの酒蒸し」といった感じの新感覚メニューです。Shrimp Salt and Pepperは、フリッター状にあげたエビに塩とコショウ、そして唐辛子のみで味付けしたとことんシンプルな一品。エビのプリッとした食感と、衣のフワリとした口当たりは申し分なく、素材の味を充分に引き立てていました。シェフのケビンさんによると、炒めたハラペーニョペッパーやパプリカなどと一緒に食べると、野菜の辛味と甘みが合わさってさらに複雑な味になるとのこと。ソースには、ツンとした辛さがたまらないワサビマヨネーズと、サッパリしているチリソースの2種類があります。

串焼きメニューからは、Steak Roll and Asparagus & Scallionsをトライ。アスパラガスとネギを巻いた薄切り肉を甘めのタレをからめて焼いたもので、日本の焼肉風の味付けで食べやすかったです。

寿司メニューもかなり充実しているので、その中から握り寿司をいくつか頼んでみたところネタの新鮮さはバッチリ。こぶりなシャリの握り具合も、口の中にいれるとフンワリとろけて良かったです。

メインには、アジアン・フュージョンメニューのお勧め料理Pan Seared Sea Scallopsと、Shrimp Lo Mein Noodleをオーダーしました。サフランを使ったアイオリソースでホタテをあえた料理は、ミディアムレアに焼かれたホタテがフンワリ柔らか。ベーコンのスモーキーな香りと塩気が程よく調和していましたが、期待していたアイオリソースにほとんど味がなくちょっと残念。付け合せのクリームソースで和えた洋風うどんは好き嫌いが分かれましたが、日本のうどんとはまた違った面白い一品です。こちらも味付けがかなり控えめなので、好みで塩・コショウすると良いでしょう。一方、取材班絶賛のShrimp Lo Mein Noodleは、締めにふさわしいオススメの一品。中華レストランにありがちな焼きそばの油っこさが全くなく、味付けはとてもマイルドです。日本の食堂で食べたことがあるような、素朴で懐かしい味わいが心をひきつけます。好みでラー油や酢を振ると、さらに何通りにも味の変化を楽しむことができます。

デザートはお店の手作りではありませんが、専門店からよりすぐりのスウィーツを仕入れていて、その中のひとつGreen Tea Cakeは日系ベーカリーのモンブランから取り寄せているそうです。

ポーションが小さめのアペタイザーメニューが数多く用意されているので、お酒を飲みながらちょっとつまむのが好きな人や、1人でフラッと立ち寄りたい人には最適です。オシャレな中にも居酒屋のような気さくな雰囲気があり、懐かしさと居心地の良さを感じるお店です。

(07/06/09)

醤油オイルのコクが淡白なスズキにとても合っているオススメのSuzuki Carpaccio	Clams with Black Bean Sauceは「中華風アサリの酒蒸し」といった感じの新感覚メニュー	シンプルなShrimp Salt and Pepperは、エビのプリッとした食感と、衣のフワリとした口当たりがたまりません
日本の焼肉風の味付けのSteak Roll and Asparagus & Scallions	ネタの新鮮さも、こぶりなシャリの握り具合も、どちらもバッチリ	期待していたアイオリソースにほとんど味がなくちょっと残念だったホタテ
取材班絶賛のShrimp Lo Mein Noodleは、締めにふさわしいオススメの一品	日系ベーカリーのモンブランから取り寄せているGreen Tea Cake	白いリネンが映えるおしゃれなフレンチレストラン風の店内
バーを兼ねた寿司カウンターは、気軽に入れる雰囲気が魅力的